
読書好き歴9年、ZZZblogの管理人なべこう(@fukujion)です。
ひょんなことからこっこさん(@cocco00)とお互い読書好きという話になり、今回、本の感想を寄稿し合うということになりました。
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記念すべき第1回目は蘇部健一『運命しか信じない!』です。
運命で紡がれる6つの物語
運命しか信じない!は6つの短編からできています。それぞれが運命をテーマにしたお話ですが、どれもテイストが違っています。
まるでドミノ倒しのように1つの出来事が連鎖し合い恋が成就する話や、運命と思っていたものが実は仕組まれたものだったり、またそれも運命だったり、時代を超えた偶然が重なったり、不運の連続が幸運をもたらしたり、運命的な出会いが実はたゆまぬ努力の結果だったりと、結局いろんな形で恋が成就する短編集です。
どの作品も「一方その頃」という種明かしでクスリとさせられますが、当の登場人物たちはそれを知りません。それもまた面白味の1つです。
大きな運命でつながっていた
この本の説明に「短編でありながらまるで長編ストーリーを読んでいるようなダイナミックな展開」とありますが、まさにその通りで、6つの物語は意外なところでつながっていました。短編1話ずつ読み進めていくと、少しずつつながりが表れ、5話の終わりにある物語の登場人物の行動が他の物語の人物に影響を与える様が説明されています。この仕組みにはうならされました。そして、元を辿れば第1話のタイトルにもなっている「もしタマがミルクをこぼさなかったら・・・」というところに行き着くんですね。猫がミルクをこぼしただけでいろんな物語が動き出すんです。実におもしろい。
しかし、6話目だけはテイストが違いました。テイストというか結末が。6話目も1話目と同じ「もしタマがミルクをこぼさなかったら・・・」というタイトルです。タマがミルクをこぼしたことで5つのほほえましい物語が始まったその裏で、まったく違うストーリーが進行していました。
偶然なんてない。あるのは必然だけ
この本を読んでCLAMP先生のマンガ「ホリック」の「偶然なんてない。あるのは必然だけ」というセリフが何度も頭によみがえってきました。この本を批判的に見れば「ただの偶然じゃん」の一言で片付けられるかもしれません。現実世界でも「運命の出会い」が他人からみればそうでもないということはよくあります。
じゃあいったい運命ってなんだろう。偶然ってなんだろう。すべてのことには意味があるということなのか。ライトな物語でありながら、深く考えさせられる一冊でした。
しかしこの本、こっこさんに薦められなければ一生読むことがなかったと思います。タイトル的にも自分の興味をそそらないし作者も知らないし。これもきっと運命だったのでしょうか。
この作品のこっこさんの感想文はこちらをチェックしてみてください!
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