お風呂に入っているときに突然、何の前触れもなく「あっ!!!」とひらめきが降りてきたこと、きっと誰しもがあると思います。
当ブログでもいろいろと企画を行っていますが、それらはすべて「思いつき」で行ったもの。思いつき、すなわちひらめきです。
ひらめきは気まぐれで、当たり前ですが、ひらめこうと思ってもひらめきは降りてきません。ご紹介する『降りてくる思考法』は、ひらめきが起こりやすくなるちょっとしたコツを教えてくれるビジネス書です。
江上隆夫『降りてくる思考法』レビュー
ご紹介するのはこちら。
江上隆夫さんの『降りてくる思考法 世界一クレイジーでクリエイティブな問題解決スキル』です。
すべての人は考えることが苦手である
江上さんは本書の中で
わたしたち人間は考えることがとても苦手です。正確にいうなら「新しいことを考えること」があまり得意ではありません。
と述べています。なぜなら人は「しつけ」など、成長の過程のなかで、社会の考え方や行動の仕方を教え込まれるから。親と暮らすなかで、学校生活のなかで、社会人生活のなかで、人は「常識」というワク組みを身に着けていきます。
この「ワク組み」は「新しいことを考える」うえでどうしても足かせになってしまいます。
無意識の活用がすごいアイデアを生む
ミュージシャンしかり、作家しかり、芸術家しかり、多くのプロフェッショナルが「アイデアが突然思い浮かんだ」と言います。考えようとして考えたのではなく、突然思考が「降りてくる」のです。
実は、読書時に使われる脳のエネルギーは、安静時の5%程度だそうです。
これってすごくないですか?逆にいうと、読書等をしているときよりも安静にしているときのほうが20倍も脳は働いているということです。
脳はわたしたちが想像するよりはるかに高度な思考作業を、意識的な活動よりはるかに大きなエネルギーを投入して、無意識の領域で行っているのです。
この「無意識」を少しでも有効活用できるような土壌を醸成しよう、というのが本書です。
無意識を活用する3つのコツ
思考が降りてくるようにするには3つのコツがある、と本書では述べられています。
- メタ思考を行う
- ワク組みの自動実行をストップする
- 脳を休ませる
この3つです。
メタ思考とは
メタ思考とは「より大きな視点、高い視点から物事を考えること」。物事を考えるにあたって、視座を上げ、視野を広げて考えるクセをつけることです。
トヨタの「なぜなぜ5回」が例として挙げられています。ひとつの疑問に対して「なぜ?」を5回繰り返すことで物事の本質的な部分に辿り着こうというアプローチ方法です。
ワク組みの自動実行をストップする
脳は「とにかく実行してしまう機械」です。
クジラを想像するな
そう言われたら、どうでしょう。クジラ、想像しちゃいますよね。こうやって、脳は自動的に思考を進めてしまうもの。
この「ワク組みの自動実行」は止めようと思っても止めることができません。ひとつめのメタ思考をするにあたり、脳のこの機能は障壁になりえてしまいます。
そこで、脳が自動的に思考を進める前に「脳を狭く小さく使うコマンドによる指令」を与えましょう。この「脳を狭く小さく使う」ためのコツが48個も紹介されています。これについては追ってご説明します。
脳を休ませる
先に記載のとおり、脳は安静にしているときほど活性化しているもの。十分に頭を使わせて考えたあとは、じっくりと休んでそのアイデアを熟成させます。
アイデアが浮かびやすいのは「4B」だと言われています。
- Bar(バー)
- Bathroom(お風呂)
- Bus(バス)
- Bed(ベッド)
個人的には「トイレ」も入れたいw
いずれに場所にも共通して言えるのは、体を動かさず、ぼんやりとする場所だということでしょうか。そんなときこそ脳は活性化しているのです。
脳を狭く小さく使う48のスキル
「脳を狭く小さく使う」とは、思考方法のコツ。物事を考えるにあたって、こういう考え方をするといいよ、というヒントだと思います。
こういう考え方をすることによって、自動実行される「ワク組み」を取り払うことができ、今まで気付かなかったようなアイデアが降りてくる可能性が高まるということ。
本書では
- 変える
- なくす
- くっつける
- 盗む
- ~だとすると
- 見えるようにする
- 調べる
- 捨てる
- ちょっとだけをちょっとだけ
という9種類48個のスキルが紹介されています
いくつかご紹介します。
時間をなくす
時間はすべての人間に平等に与えられた平等・共通の資源。「時間をなくす」という着眼点は誰もがメリットを享受できます。
これを聞いて私が思い出したのはUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)のエクスプレスパスを思い出しました。
簡単にいうとお金を出すことでアトラクションの待ち時間を短くすることができるシステムですね。「時は金なり」と言いますが、お金を出してでも時間を買いたいというニーズを捉えたサービスですね。
ディズニーでは無料で、先着順で用意されていファストパスを有料化するという、これはすごいアイデアだなと思います。
くっつくはずのないものをくっつける
例で紹介されていたのが「アイスクリームの天ぷら」。
熱で溶けてしまうアイスクリームを、高温で調理する天ぷらにしてしまうという、普通に考えると結びつかない2つのものを結びつけてしまったという例です。
こういう常識のワクを超えた思考をするにあたって大事なのが「どんなアイデアであっても否定しない」ということ。
これは思考術系のビジネス書では必ず謳われています。脳はワク組みを自動実行しようとするので、どうしても「そんなの現実的じゃないよ」という思考になりがち。否定から入りがちになってしまいます。
提案者も否定をされると萎縮してしまい、さらなるアイデアは生まれてきづらくなります。
ブレインストーミングでもそうですが、とにかくアイデアの数を出し、否定はしない。突拍子もないようなアイデアが実は素晴らしい閃きの種かもしれません。
アレンジして盗む
ゼロから思考を進めるのではなく、既にある素晴らしいアイデアをベースにして思考を深化していくのも方法のひとつ。
基となるアイデアの本質を自分なりに解釈し、それをアレンジして表現する。これも思考法です。
私が運営する『ジブン手帳同好会』では、『ミンナでつなぐジブン手帳』という企画を実施しています。これは1冊の手帳を、週替わりで52人が自分の使い方・書き方で記入することで、1年後に52通りの使い方が記された手帳を完成させようという企画です。
これは、大元は『旅するEDiT企画』という、別の手帳で行われていた企画をベースに考えました。
手帳好き、ノート好きの人には「他の人の書き方を見てみたい」という根本的なニーズがあって、これを実現してくれるのがこの企画の根幹じゃないかなと思います。
そのため、『ミンナ手帳』では、みんなが書いてくれた手帳を適宜PDFにし、参加者以外の方も見ていただけるようにPDFデータをネット公開しています。
本書のまとめ
『降りてくる思考法』というタイトルですが、物事の考え方の基礎を教えてくれる本であると思いました。
考え方の基礎を学び、凝り固まった思考のワク組みを広げてあげる(本書では「脳を狭く小さく使う」と書かれていますが、狭く小さく使っているその場所がもともとのワク組みの外にあるので、結果として思考のワク組みが広がる、と思います)ことで、アイデアが「降りてくる」可能性が高まる。
人にはそれぞれ「考え方のクセ」があると思います。それも個性ですが、そのクセに従っているだけでは、毎回同じような思考になってしまいます。
本書は頭を柔らかくしてくれる一冊。おすすめです。
レビュープラスについて
この本はレビュープラスさんから献本をいただき、記事を書かせていただきました。
レビュープラスさんは、登録すると自分にマッチした書籍のレビュー依頼が入り、そのなかからレビューしたい書籍を選ぶだけというシステム。
数日するとその書籍が郵送されてくるので、指定期日までに記事を書く、という仕組みです。
R+(レビュープラス)は、レビュアーと企業とを結びつけるレビュー専門ネットワークです。「献本いただきましたー」と書いているブログをみて、「うらやましいーっ!わたしもレビュー書いてるのに。。」 と思った...
簡単に登録できますので、読書好きなブロガーさんはぜひ試してみてください。
コメントを残す