気付けばもう30歳を過ぎていて、そろそろ「若い」なんて言えない歳になってきた。
もう学生時代のような体力はないし、お腹にお肉もついてきたけれど、僕自身は特に自分が変わったとは思っていない。
だけど、僕についてまわるペルソナは日ごと月ごと年ごとにその形をウネウネと変えている。

キミのパパになって約3年半
3年半ほど前、僕はとうとう『父親』という肩書きを手に入れた。
僕自身には父親はない。
『父親』というものを思い浮かべても、輪郭がぼやぼやとしていて、その顔には目も鼻も口もない。
そんな僕が『父親』になった。
おっかなびっくりお風呂に入れたり、「そんなに!?」って思うくらい頻度の高いオムツ替えをしたり、急な発熱に夜中に病院に駆け込んだり。
これまで経験のないことの連続。
戸惑うことも多かったけど、キミと過ごす日々は楽しくて、あっという間に月日が流れる。
キミは優しく育った。
大好きなぶどうも僕やママにわけてくれたり、公園で滑り台の順番を譲ったり。内弁慶で引っ込み思案なところもあるけれど、負けず嫌いで、ジャンケンで負けただけで悔しくて泣いちゃうキミが、僕は愛おしくてたまらない。
僕はちゃんとキミのパパでいられていますか?
キミはよく喋る。
いつの間にかたくさんの語彙を身に付けて、それを正しい用法できちんと使って、僕に言葉を浴びせてくれる。
キミは時に理不尽な怒り方をして、僕を困らせ、僕もまた時にそれに対して怒ってしまう。強い言葉を言い、キミを泣かせることもある。
そんなときキミは目にこれでもかというくらいたくさんの涙を溜めて、僕に「ごめんなさい」と言ってくる。
僕はキミを抱き締める。
僕はちゃんとキミのパパをやれていますか?
パパはちゃんとキミを守れていますか?
キミはパパから愛されていると感じられていますか?
パパは、パパとしては未熟かもしれません。
やれていないことも多くて、ママに怒られることがたくさんあります。キミのお手本としては足りない部分もたくさんあるかもしれません。
だけど、僕はキミを世界の誰よりも愛しています。
自分の命よりもキミを大事に思います。
足りないところはキミがパパを育ててください。パパはキミに負けないようにがんばります。
父の日
僕自身には父親はいない。
『父親』というものを思い浮かべても、輪郭がぼやぼやとしていて、その顔には目も鼻も口もない。
だから、僕は『父の日』なんてものをすっかり忘れていた。
「パパー、プレゼントあるよ」
朝、顔を洗っている僕に息子が近付いてくる。
「プレゼント? ちょっと待ってね、顔拭いてからね」
濡れた顔を拭いて、膝立ちになり息子と向かい合わせになる。
「はい、どうぞ」

もう声も出なかった。ありがとうもろくに言えないまま、僕は泣いた。
嗚咽を止められない。
ありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
キミがパパの子であることを、パパは誇りに思うよ。
何も言えずにいる僕を、キミはぎゅっと抱き締めてくれた。
「パパ、泣いてるの?さみしいの?」
キミは僕のたからものだ。
EyeCatch photo credit: kisses via photopin (license)
初めまして、いつも楽しく拝読させていただいております。
本日の「イロトリドリ」の記事を拝読し、多々共感することがありましたので、不躾ながらコメントを寄せさせていただきました。
私も父親のいない母子家庭で育ち、子供の時分には父の日というものは苦痛以外の何物でもありませんでした。
私にも3歳の息子がおりますが、先日の父の日に保育園で描いた似顔絵をプレゼントしてもらい、コッコさんと同じように声も出せずにただただ泣いてばかりいました。
そんな折にブログを拝見し、同じような思いをされていることに、コメントを残さずにはいられませんでした。
はじめまして!
コメントありがとうございます。まるきり同じような状況だったんですね。
息子のプレゼントは本当に心に突き刺さって、あたたかくて、嗚咽が止まりませんでした。
お互い、これからの成長が楽しみですね(≧∇≦)